BtoCとBtoB

昨年「武田薬品工業が大衆薬事業を売却」というニュースがありました。武田は売上高約3兆3千億円の日本No.1の医薬品メーカーです。総資産約12兆8千億円、営業利益約1千億円。なので、売上高営業利益率3%、総資産利益率は0.8%です。低いですね。ちなみに私が仕事で関係のあった某国内製薬会社は、売上高営業利益率は20%です。高いですね。

元々製薬は利益率の高い業界です。武田は、2019年にシャイアーというアイルランドの製薬大手を買収しました。買収額は6兆円超。これによって世界ランキングは9位になりました。しかし買収で膨らんだ負債が経営を圧迫しています。となると当然、非中核事業の売却を進める。すでにドライアイ治療薬事業などの売却を進めています。で、大衆薬子会社「武田コンシューマーヘルスケア」の売却を決断した。みなさんご存知のアリナミンやベンザプロックなどを扱っています。売上高は約600億円。黒字ではありますが、大衆薬は低成長、低効率なんです。これからは、がん、消化器系の新薬開発を強化するとのこと。抗がん剤は、高成長、高効率ですが、膨大な費用と時間がかかる。そこにリソースを集中しようということです。でも看板商品を手放すのは苦渋の選択だったでしょうね。武田の社長はクリストフ・ウェバーというフランス人で、東京日本橋にグローバル本社をつくりました。彼も大変難しい決断だったと語っています。

BtoCとBtoBについて少し考えてみましょう。提供する商品・サービスが一般消費者(個人)向けのものがBtoC、事業者(法人)向けのものがBtoBです。これざっくりと考えた方がいいです。厳密にはメーカーも売ってる相手は問屋が多いのでBtoBになってしまいますが、製造商品が消費者向けなのでBtoCととらえます(BtoBtoCなどと言う場合もある)。最近はこの他にCtoCも注目されています。個人間取引です。間にメルカリなどプラットフォーマーが存在します。

世の中の企業のほとんどはBtoBです。下請けや中間会社など中小規模企業の多くがBtoBだからです。取引先との関係性重視のため不況に強い(すぐには切られない)。商品・サービスの広告宣伝に多くの費用がかからない。特別な専門マーケティングは必要ない。この逆がBtoCなので、簡単にスイッチされる、商品認知・理解のために莫大なコストがかかる。BtoCで利益を上げるのは大変なんです。じゃあなんでやるの? 参入障壁が高く、先行者利益が大きいからです。大衆消費財業にゼロから参入するのは大変。ブランディングが必要です。大衆薬も同様。寡占競争の中でどうやって優位性を高めるか、知恵を出さなければなりません。自分たちの事業をよく理解して、全員で会社を動かす必要がありますね。

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