8つの無駄
効率化のフレームワークで「8つの無駄」というものがありますのでご紹介します。これは日本の製造業から生まれたもので、日常業務でも大いに役立つと思います。ではまずその8つを列記します。①過剰生産、②在庫、③待機、④不要な運搬、⑤不要な動作、⑥過剰サービス、⑦やり直し、⑧知性。リーンオペレーションのプロは、工場の生産ラインや倉庫を見ると、たった数分でこれらの無駄をあぶり出すそうです。
それぞれを簡単に説明します。①過剰生産→必要以上に作りすぎること。例えば自炊で料理を作りすぎた経験、誰でもありますね。②在庫→付加価値を生まずにただ管理されているもの。不動産で言えば空家。③待機→待機のためだけに浪費されている時間。他部署の返事待ちなど。④不要な運搬→工程間の不要な商品搬送や複雑な情報伝達。担当者に直接依頼せず、一旦その上司の了解を取るなど。⑤不要な動作→必要以上に複雑な作業。机の上に書類が山積みで、いつも何かを探し回っている。⑥過剰サービス→ユーザーのニーズを超えたサービス。毎回毎回詳細データをまとめた資料を配信しているけど、実は誰も見ていない。⑦やり直し→ミスによる作業の反復。買い物メモを忘れてスーパーに行き、また買い直す。⑧知性→人材の活用不足、過剰スペック。能力や経験からして明らかにもったいない役割など。
どうでしょう。あるあるですね。仕事でも生活でも無駄は多い。私なども、日常的に「これ順番逆だよな」と思いつつ、自宅の1階と2階を何度も往復しています。この8つは効率化(時間、手間、コストの削減)に直結しますが、品質にもつながります。工程やプロセスをスリム化すると、リスクが潜む箇所が減る。逆に言うと、無駄だらけのプロセスだと危なくってしょうがない、とうことです。
さらにこの視点は、ボトルネックの解消にも役立ちます。特に③待機や⑦やり直しが原因で、「いったい、なんでこんなに時間がかかってるんだ?」となっている場合も多い。また、生産管理やプロジェクトマネジメントでは、「クリティカルパス」(重要な経路)という概念があり、これは一般業務でも十分応用できます。クリティカルパスを見つけるためには、PERT図を作成する必要がありますが、ご興味のある方はWEBで。プロジェクトでは、クリティカルパスが遅れると全体が遅れます。他の作業をどんなに短縮できても意味がない。このあたりは、やはり③待機が鍵になります。
以上、8つの無駄から話を広げましたが、複雑に考える必要はありません。まずは純粋にフレームワークとして、チェックリスト的に活用してみましょう。思いがけない発見があるかもしれません。まずは机を片付けようかな。