賢者は歴史に学ぶ
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があります。これを言ったのはプロイセン(ドイツ)のビスマルクだと言われています(所説あり)。自分の経験だけでは狭く浅い、歴史からの学びはとても大きい、とう趣旨ですが、「経験を軽視している」と誤解されやすい言葉でもあります。経験と未経験を比較すると、「0と1の違いは無限大」で、経験は非常に重要。それも踏まえてビジネスに応用すると、「まずは自分でやってみるのが基本。さらに多くの事例(成功・失敗)を研究・応用することが、成果につながる」といった感じです。つまり「課題→仮説→実行→評価→修正」のPDCAがまずベース。しかしこれだけでは、円(サイクル)が小さい。これにベストプラクティス(事例)を掛け算することで円が大きくなり、テコも効いて成果が上がるということです。例えば、メンバーの報告に対するリーダーのコメント。「同業他社や異業種での成功事例は調べた?」と返されて、「うっ」となることもあるでしょう。
冒頭の言葉に戻りますが、一個人の一生の経験には限りがあるので、全部自分で試行錯誤したり編み出したりするのは無理。数学の公式一つ使うのも歴史から学んでいるのです。歴史だけではありません。小説を読むのもいい。自分では決してできないような波乱万丈の出来事を体感・共感して、疑似体験するだけで、心が豊かになります。
歴史を学ぶことを考えてみましょう。ピンポイントで好きな部分は知ってるけど、全体像(流れ)を理解している人は少ないのではないでしょうか。今さら教科書(例えば山川)を読むのもだるいし、そもそも頭に入って来ない。なぜか? それは網羅的で表現が固いからです。世界史は地域がバラバラで年代が逆行する、日本史は社会・文化などの細かい要素が都度挿入される。これに対し、地域をある程度固定して、政権(軍事)を中心に物語化すると、かなりわかりやすくなる。そこで、よい本があります。「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書」、「同・日本史の教科書」。著者は山崎圭一さんです。文字が大きく、表現も平易。要所で挿入される図もわかりやすいし、本文に年号は一切記載されていない。意外にすぐ読めちゃいます。物語のように一読して、その後は資料的に調べたり、見返したりすればいい。歴史は一番とっつきやすい教養です。歴史に限らず、「ベストプラクティス」は、間違いなく仕事の視野が広げます。きっとよいヒントになると思いますよ。