リーダーシップ・プリンシプル
以前、新聞にアマゾンジャパン社長ジャスパー・チャンさん(56歳)のインタビュー記事が掲載されていました。チャンさんは米国のP&Gからアマゾンジャパンに入社して、20年間社長を担っています。記事の中に、「アマゾン(世界全体)は、リーダーシップ・プリンシプルと呼ぶ14項目の信条を定めている」という記載があり、興味を持ちました。これは「役職者だけではなく社員全員がリーダーであるべき」という考えがベースにあります。
14項目は基本的に英文で、正式な日本語訳はないそうです。また1番目と14番目以外に順番はありません。ここではわかりやすくするため、番号をふって意訳します。①お客様中心、②オーナーシップ、③創造性とシンプルさ、④正しい判断、⑤学びと好奇心、⑥最高の採用と人材開発、⑦最高水準の追求、⑧大局的思考、⑨スピード、⑩倹約、⑪信頼獲得、⑫深掘り、⑬建設的異議とコミット、⑭結果重視。かなり勝手に日本語にしました。
前記のとおり、順番が決まっているのは①と⑭のみ。「お客様中心」→「結果重視」という流れが非常に明確です。これが軸で、あとの12項目はその効果を最大化するための行動規範という感じでしょうか。アマゾンは創業以来配当ゼロです。資金は全て将来の投資(顧客サービス)にあてる。チャンさんは、これもお客様中心姿勢の体言だと言っています。そして様々な活動の結果は、数字を経由してお客様の評価となる。14項目って網羅的で多く感じますが、とてつもなく徹底しています。これが全部できないと、「アマゾニアン」(自分たちをそう呼ぶ)ではないらしい。
①⑭以外の12項目で、私が特に共感したのは、「オーナーシップ」、「学びと好奇心」です。アマゾンでは、「それは私の仕事ではありません」は禁句中の禁句だそうです。クロスファンクショナルな機動性を発揮して付加価値を高めている。私たちはどうしても、役割分担の中で仕事を狭くとらえがちです。しかし、受け身にならず、広くオーナーシップをもって前進することが大切なのは言うまでもありません。またアマゾンではインプットを重視しており、これが創造、判断、深掘りなど他の行動規範に密接につながっている。私も「学びと好奇心」は「チャンス&リスク感度」につながると強く思います。GAFAであるアマゾンは、世界のトップランナー。とても全て同じようにはできませんが、有益なヒントになります。少しでも参考にしたいですね。