ペルソナ

今更ですが、マーケティングで一番大切なのは「ニーズ」です。この「ニーズ」とは誰のニーズでしょう? そう、ユーザーです。こちら側から言い換えるとターゲットですね(STPのT)。そこで重要なのが「ペルソナ」です。「提供する商品やサービスの典型的なユーザー像」のこと。ターゲットとどうちがうの? ターゲットはざっくりしたセグメント、ペルソナはリアルな人物モデルです。例えば、食品の新商品のターゲットは「30代・男性・ヘピーユーザー」など。これに対し、ペルソナは「山本一郎・34歳・男性・都内在住・妻/娘(3歳)・メーカー勤務・SNS積極利用・趣味は旅行で・・・」。こんな感じです。ペルソナのほうがリアルにイメージがわきますね。キーワードは「典型」です。

以前私が研修事務局をやっていた時、講師の先生が、何度も何度も「マーケティング戦略を考える時は、まず典型だ」と言っていたのを思い出します。特殊ではなく典型です。リアルさはいるけど、ひねりは不要。ターゲットは、こちらが勝手に市場をセグメントして切り取った属性です。機械的な分類と言ってもいい。それに対し、ペルソナは血の通った人間を想像できます。自然と打ち手もリアルになってくる。「こんなキャンペーンどう? うーん、今一反応は薄いだろうなあ。それじゃあ・・・」こんな感じで、議論も広がる。マーケッターはこのペルソナを描くのが得意で、特に4Pで力を発揮します。生きたマーケティングになる。ちなみに企業では大和ハウス工業が、ペルソナマーケティングが上手いと言われます。D-room(セキュリティ賃貸)とか。

さて、このペルソナを日常業務に応用するとどうなるでしょう。ユーザーを想像する。例えば社内サービスであっても、利用している従業員をリアルにイメージします。どんな人が、どんな時に、どんなやり方でそのシステムを使うのか。どんな不便があって、どんな希望があるか。使いやすいか。こんな機能があったら便利かな。そしてユーザーの利便性向上と、作業者の効率性アップを同時に実現できるように努力する。「ターゲットは一般従業員」というだけの無味乾燥な定義から、一歩も二歩も仕事が深まります。

最後に、ペルソナで大事なのは、やりっぱなしにしないこと。あくまで仮定からのスタートなので、実際のユーザー反応(効果)を検証する。誤解や思い込みがあれば、すぐに修正する。これが「適切なPDCA」です。ペルソナを意識することで、マーケティングも日常業務も深まりますね。

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