守・破・離

以前紹介した枡野俊明さんの本に、「指示されたことをやる、それだけでいいではありませんか」という記載がありました。この文の趣旨は「仕事があること、与えられることに対する感謝」です。よく業務改革などで、「やらされ感をなくそう」といった表現を目にしますが、この「やらされ感」という言葉には、「上司から一方的に命令され、部下はしぶしぶ、主体性もなく引き受けている」といったニュアンスがあります。ここには期待されている役割に対する、前向き感、責任感、誇りのようなものは感じられません。

これには順番があると思います。まず最初に「やらされていること=自分の担当役割」を言われた通り、しっかりやり切る。その上で、自分らしく創意工夫する。そして、能動的によりよい方法を確立する。あれ、これ「守破離」ですね。そう、茶道、武道、学習などでおなじみの守破離。最初は受け身でもよいのです。ちゃんと正攻法、基礎を教えてもらい、しっかり出来るようにする。不明な点があれば、とことん聞いてクリアにする。それをある程度回して経験を積むうちに、問題意識がわいてくる。それが主体的な工夫につながります。

決められたことから一歩も出ずに、ただ同じことを繰り返していると、「一方的にやらされている=受け身=進歩がない」という構造になります。これを「決められたことが出来る→問題意識を持つ→創意工夫(改善)する」に転換したい。そのために必要なことは何か?

内と外、それぞれあります。「内」は自分自身の意識で、「根っこに興味を持つ」こと。「なんでこんなやり方してるんだっけ?」、「この目的は〇〇だよね。たったら・・・」など。「部分」で止まらず、「全体」に関心を持つ。次に「外」は環境で、「役割に一定の裁量・自由度を与える」こと。ガチガチのマニュアル厳守から工夫は生まれません。そして内と外をつなぐのが対話。ということで、「興味・裁量・対話→守破離→貢献・成長→Happy」となります。よし!つながった。

冒頭の話に戻りますが、「指示されたことをやる。いいじゃないですか」。そう、最初はそれでいい。ちなみに、先に書いた「同じことを繰り返す」も、自分の意志をもってやると、イチローの生活リズムや禅の修行のような「大切なルーティン」になります。これもやらされ感とは違います。いずれにせよ、スタートは役割や決め事を全うすること。経験値を上げ、誇りを持ち、信頼を獲得する。まずはそこからですね。

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