『Why』は特別
私は「30歳代の成長にとって重要なのはWhyとWillだ」とよくメンバーに話しています。「それはなぜ?」「あなたはどうしたいの?」この二つの問いが人を育てます。このWhyですが、5W・1Hの中で特別な存在です。なぜか?
Why以外のものは個別要素を1問1答式で問うのに対して、Whyは全体の視座を高めます。例えばある商品の「市場の現状を分析してください」と上司にお願いされたら、どうアクションするでしょう。出荷データを見る、業界統計を調べる、営業部門にヒアリングする、などでしょうか。しかし一番最初にすべきなのは、上司に「なぜこの分析が必要なのですか?(何に使うのか)」と聞くことです。つまりお題の目的をクリアにすること。大きな推移を見て長期構想の参考にするのか、顧客別の嗜好傾向を分析して商品開発のネタにするのか、他社動向から競争戦略を導出したいのかを掴むのです。いきなりデータや資料を闇雲に集めるのではなく、一段上からこのお題の目的・役割・意図を俯瞰する。
Whyが特別なのは、その他にも「段階的に思考を深めることができる」という点があります。なぜ→なぜ→なぜ、ですね。また過去と未来を両方考えることができる。「なぜそうなったの?(過去の因果)」、「なぜそうするの?(未来の目的)」。なるほど。確かにWhyは5W・1Hの中でも特別な存在ですね。よーし、これからWhyをガンガン使うぞぉ!
ただし気をつけてください。Whyは嫌われやすいのです。上司に頼まれても「なんのためにやるんですか?」、「この仕事の目的は何ですか?」・・・。上司の反応はおそらく「(面倒くさいやつだなあ)いいからやってくれよ」そんな感じでしょう。人間は出した指示にゴチャゴチャ言わずに猛進する人が好きなんです。「グラウンド5周!→なぜですか?」こんなやりとりが大嫌い。しかし上司にとっても絶好のメンバー育成機会です。上手にキャッチボールしてお互いに前進しましょう。
原則は、まず自分に問いかけて(なぜ?)、仮説を考えてから他者に問いかける。これが正攻法。でもそんなに丁寧に時間もかけられないし・・・。結局、何度も試行錯誤しながら経験値を上げて、『適度なWhy』をやりとりできるようになること(あたり前です)。いずれにせよ、この『特別なWhy』で思考力が鍛えられるので、日頃から意識したいものですね。