ズレとオチ
私は「お笑い」が好きで、よく「ルミネtheよしもと」に行きます。今は行けませんけどね。やっぱりライブは芸人さんの真剣勝負がよく伝わるし、笑い声に包まれたハッピーな空間は心地よい。「笑い」はエンドルフィンという脳内物質を分泌し、健康にも気分にもとてもよいそうです。ある方が「笑いの本質はズレです」と言っているのを聞きました。なるほど。予定調和を想像していてそれが少しズレると思わず笑ってしまう。よくわかります。
これに対し「オチ」というのがありますが、これは非常に高度な技術なので一般人がパブリックスピーチなどで使うと非常に危険だとか。「オチ」を使うのはプロの芸人さんで、まさに「技」です。話しをひっぱって聴衆の期待を煽り、最後に大きくおとして大爆笑。ハイリスクハイリターンです。飲み会などでは大歓迎ですが、ビジネスプレゼンテーションでは使わないほうがよいでしょう。下手をすると「本質的に伝えたい」ことが伝わらず、スベると場が凍りつきます。たとえ爆笑がとれても、印象に残っているのはこのオチだけで、肝心の中身が喰われてしまう、なんてことになる。「笑い」でお金をとっているプロは「オチ→爆笑」のために何度も何度も練習しています。伏線、引っ張り方、タイミング、言い方、絶妙な計算です。オチでかんだら台無し。うーん、絶対かみそう。
さて話を「ズレ」に戻します。これは笑いにもつながり、プレゼンテーションで適度に使えますが、むしろマーケティングでの活用が王道。世の中のヒット商品の多くはこの「ズレ」です。まったく新しいアイデアなどはそう多くはありません。基本は既存アイデアの新しい「組み合わせ」であり、お客様からするとちょっとした意外性、つまり「ズレ」です。例えば、「こってりそうだけど、くどくなくてさっぱり」、「シンプルだけど、高機能」、「地味だけど、派手な若者に大人気」など。私が商品開発リーダーだった時に意識したのがこの「ズレ」。「□□だけど、○○。今までなかった新しさ」ってね。結果なんとかブランド化に成功し、ありがたいことに今でも市場に残っているものがあります。
仕事によっては正確性が求められ、「ズレ」がゆるされない場合もあるでしょう。一方で日常生活やコミュニケーションでは、この「ズレ」というのは非常に有効です。上手に「ズレ」を活用し、よい笑い(ちょっとニヤっとしてしまう程度)で毎日を少し豊かにしたいですね。