AIができること、人間がすべきこと
現在は機械化の時代。企業もAIやRPAを駆使して合理化、効率化に取り組んでいます。私はAIと聞くとどうしても将棋やチェスを連想してしまいます。「2017年5月、将棋の佐藤名人が人工知能Ponanzaに敗れる」というニュースがありました。先手Ponanzaの初手は「3八金」。これで会場がどよめきます。羽生氏は「セオリーに反する手。棋士は絶対に指さない」と解説していました。どうやら先手ならではの人対策(ヒトタイサク)だったらしいのです。人間が動揺することまで計算に入れる、恐るべし人工知能!
以前研修でIBMのWatsonの話しを聞きました。WatsonもPonanza同様人間と対決し打破しています。米国の有名なテレビクイズ番組で、歴代チャンピオンを破りました(IBMは元々この番組に出て勝つことを狙って開発したとも言われている)。今のAIは「音声や画像のパターン認識」が主ですが、Watsonが得意なのは「自然言語処理」だそうです。最初はクイズ番組など娯楽的な分野だけの印象でしたが、最近は医療分野で目覚ましい活躍があるとのこと。新たな治療法により白血病患者の命を救ったとの報道もあります。なるほど、得意な自然言語処理で「事例」や「論文」を鬼のように読みまくり、かつ忘却せずに応用するってわけですね。Watsonが読んだ医学論文は2000万件以上。これで専門医でも難しい診断を10分で見抜いたそうです。人間が読むのは一生かかっても無理でしょうね。将棋のAIも何万局もの棋譜を覚えています。
知識ベースでは人間はかなわない。経験値(仮想)でもかなわない。結局、解釈、発想、関係構築するのは人間で、それらをサポートするのがAIといった感じでしょうか。サポートは単純なものから高度なものまで様々です。反復作業はなるべくAIやRPAに助けてもらって思考力と行動力を鍛錬したいものです。AIがどうしてもできないこと、それは責任をとること。「誰の責任だ!AIか!AIに全責任をとらせろ!」というのは無理な話し。AIの支援のもと意思決定をし、その結果に対して最後に責任をとるのは人間です。機械的な判断を超えた『決断』が必要な時代ですね。